練習

さよならまでの助走

平成に置いてきたはずの君との関係

 

 

彼の嫌いなところを挙げるとキリがない

 

例えば、待ち合わせには必ず遅刻するところや食べ物の好き嫌いが多いところ、寝るときに歯ぎしりがうるさいところ、あまりにも多すぎて思い出せないほどだ

 

この中でもおそらくいちばん嫌いであろうところが私に別れの切り札を召喚させた

 

 

長くなるけれど、その話をしようと思う

 

まず、彼に惹かれた理由のひとつが正義感の強さだった

どんな場面でも公平な立場から物事を見ることができ、意見をはっきりと言える男性だったと思う

 

しかし、彼と別れようと決めたのもまた、その正義感が理由だった

 

 

まず、あなたがこんな場面に遭遇したとする

(もちろん、これは私が体験したワンシーンでもあるのだけれど)

 

恋人と異性の友人が同じタイミングでウンウン困り果てているとき、あなたはどんなアクションを起こすだろうか

 

私はトラブルの内容を考慮せず救われるのが恋人であることの特権だと信じて疑わなかった

だから、もちろん私が彼の正義を享受できると思っていた

 

 

ところがどっこい、元恋人は正真正銘の正義のヒーローであったので、忖度することなく、手を差し伸べるべき状況にある方を選んだのだ

 

 

詰まるところ、私よりその友人の抱えていた問題の方が憂慮すべきだったので、私は選ばれなかったのだ

 

これは単に正義感の尺度の違いなのだけれど

私がいちばん苦しかったのは、彼の長所として捉えていた「正義感の強さ」が見事に仇となったことだ

好きと嫌いは紙一重とよく言うものだが、本当にそうだった

ちなみに、毎夜アンビバレンス万歳をした

 

 

その後の事の成り行きは端折ってしまうが、私たちの関係は平成と共にお留守番という形になった

 

あくまでもお留守番であるので、新しい元号とともにまた迎えに行くか、と思ったりするものだ